襟型/型紙/縫製と総合力


15FWでまた新しい襟型を考えています。
イメージは90年代初頭ぐらいのDCっぽい、少し小さめの羽襟。

羽襟は外回りの寸法が不足すると落ち着きが悪くなるので展開します。(上が数ミリですが展開したもの)

ただ、単純に落ち着きが良い、収まりが良いばかりを追っているとそのもの本来が持つ雰囲気をなくしてしまうことがあります。

今回も、単純に落ち着きだけ考えると上の型の方が良いのですが、羽襟周りから襟先に向けてのシャープさを考えると下の方がイメージに近い。

もし、この外回り寸法をキープし羽襟の幅をキープすると今度は台襟とくっつく側の線を変えなければいけない・・・

といったように、シャツは数ミリの違い、ちょっとした線の違いで大きく印象が変わります。
また寸法自体も精密に作らないとくっつかなくなってしまいます。(ここで言えば羽襟と台襟、台襟と身頃)

パーツ数も少ないので簡単そうに見えますが、気を使うという意味では結局、アウターであろうとシャツであろうとパンツであろうと、その勘所が違うだけで同じこと。


私は洋服を作るうえで基本がパターン(一番という意味ではなく)、そしてそのパターンをできる限り自分が作りたいイメージに近く引くには寸法という考え方も必要だし、立体裁断や仮縫いといった立体的な考え方も大事だと思います。

また、パターンは縫製の方法によっても曲線の形など制約を受けます。


私も服を作り始めたころは、自分で型紙をひくことに悩んだ時がありました。
企画もする、縫製もする、そして型紙も・・・となると、それぞれにかけられる時間は単純に考えて1/3になります。これだと器用貧乏というか、それぞれを極められないのではないかと。

確かに、今でもそれぞれを極めることはできていないと思いますがそれぞれを極める以上に私が大事だと思うのは、その総合力です。
型紙をひくほど、そして縫ってみれば見るほどわかったのはそれぞれが密接に関係しているということです。

よく、工場にいたころ縫い場の人が「このパターンは縫った事無い人がひいたパターンでこのままでは縫えない」「と言っていました。最初の頃は意味がわかりませんでしたが、自分でもいろいろ縫ってみるうちに「このミシンを使って、こういう縫い方をしたいならこの線は縫えない」と経験則でわかるようになってきました。

そうなると、型紙が一番とも縫製が一番とも、優劣はつけられず、すべての総合力が最終的な製品をイメージに近いものにする一番大事な事なのだと思います。