Army Officer's Trousers



お次は、Army Officer's Trousersを参考にしたチノパン作りです。
前回のTrousers, Herringboneはオリジナルのシルエットを参考に作っていましたが、今回は、Buckle Back Trousersの型紙から作ります。

余談ですが、Buckle Back Trousersの型紙は、Trousers, COOLEEMEE 402やBaker Trousers, Corduroyにも使われています。個人的に、しゅっとして気にいっています。
ただ、どちらもそのままではなく、縫製仕様ごとに若干アレンジをしていること、縫い方も前者が割り、後者が巻きなので、微妙にはき心地は変わります。

来季のミリタリーパンツは二型あるので、一型はオリジナルに近いシルエット、一型は現代的で奇麗なシルエットと、メリハリをつけます。

オリジナルのArmy Officer's Trousersの後ろ身頃。特徴的なフラップに目が行きがちですが、ダーツが二本ある事にも注目です。

もともと、Buckle Back Trousersは、尻に適度な寸法を持たせようと、ダーツを大きく、その分長さを長く取っています。

ポケット位置でダーツが消えるデザインの場合、ダーツを長くできません。
そこで、Trousers, Cooleemee 402の時には、ダーツつまみ量を少し小さくし、取りきれない寸法は後ろ中心/脇で取りました。

今回のArmy Officer's Trousersはダーツを二本に分散出来るのでダーツが短くともシルエットが作りやすい。ただ、縫う工程は二つになるので手間がかかります。

上の画像は、もともとあったダーツを左右に分散しているところです。
ウェスト縫いはチェーンステッチではないので、四角形につままなくともよいのですが、腰裏ベルトは基本的に、長方形の物を取り付けるので、出来る限り上下寸法が同じになるように内部線を引いています。

もう、言葉で説明するとさっぱりだと思うので、気になる方は展示会の時に私に聞いてください。(そんな事を気にする人は工場さん以外いないと思いますが)

さらに言えば、分散の割合をどうするか、というのも問題なのですが、とりあえず今回は均等に分散してみました。

やはり、メンズの服にはチノパンが欠かせません。
ジャケットを着るようになり痛感しました。
今でも、ビンテージの極太も好きではきますが、やはりもう少しシュッとしたシルエットの物も合わせたい時があります。

そんなときに、今年はBuckle Back Trousersを合わせていましたが、来年はミリタリー、それも少し仕様が豪華なArmy Officer's Trousersを合わせてみようと思います。裾は折るか、ダブルで上げようか、今から楽しみです。










作業はどんどん進み、迷い無しのグレーディングへ。このままでは訳がわからないので、グレーディングの中心になる点をポケットフラップに持って来てみると・・・


ポケット・ダーツを中心にウェストが均等に広がっているのがわかります。

この部分、昔は悩みました。
「ウェストが大きくなったらポケットも大きさ変えるのか?どの程度?」とか。

その後、ミリタリーチノをたくさん見ると、どれもほぼポケット寸法が同じ。
で、MIL-SPECのポケット部分を読むと「何インチ+-1/4インチに」とあります。

よく考えれば当たり前で、道具としての衣服なのだから、ポケットが機能することが第一。
サイズによってバランスを考えて大きさを変えたりするわけがありません。

それに気づいて以来、弊社もミリタリー系トラウザーズの場合、よほどウェストが小さくて入る位置が無いといった場合以外は大きさを変えません。

今、私の使っている東レのグレーディング方式はちょっとしたパズルのようなものです。
ある程度、寸法を入れるとお決まりのパターンで動かしつつ、気にいらない部分は自分でさらに細かな数値を入れていきます。

去年の今頃は、これがわからなくて頭を抱えていました。昔使っていた島精機の場合、すべての点の移動量は基本、自分で入れます。シンプルでわかりやすい分、毎回数値は入れないといけないので時間がかかりました。

さて、これから前身に入り、今日中に型紙を完成させてしまします。